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5月13日(木)
アキハバラ電脳組 #20「羽ひらくとき」
ひばりずるい…。ひばりばっかりずるい!
ひばりには何でもある。ひばりは何でも持ってる。
みんながひばりをみてくれてる。ひばりには帰るところがある!
ひばりは他に何が欲しいの?
あたしはもう帰れない。誰もあたしをみてくれない!
あたしがほしいのは…。
アキハバラ電脳組 #20「羽ひらくとき」。
パタPショップでつばめ(大鳥居つばめ@林原めぐみ)と出会ったひばり(花小金井ひばり@島涼香)は、半ば強引につばめを自分の家に引っ張ってくる。はじめて触れる家族の団らん、はじめてこみ上げてくる不思議な感情、それに耐えられなくなったつばめは、ひばりの家を飛び出してしまう。追いついたひばりに対して、つばめは自身の内から溢れ出る思いをぶつける。
つばめちゃんがはじめて心を開く回です。氷のように凍てついた心を、やさしくつつんで溶かしたのは、ひばりの家族であり、ひばりの言葉であったのだと思います。
ひばりの家でホットケーキを口にしたとき、はじめて自分にないもの、自分は孤独なんだ、孤独って何?さびしいってこと?自分が求めていたものって?…と、洪水のように心に押し寄せてくるひばりの家庭の温かさに戸惑い、逃げ出してしまうのです。
そんな行き場のない思いが冒頭に引用したつばめの叫びにあらわれています。林原演技もよかった。
一人でいる人に無神経に踏み込んでいくことって、相手からしたら実はとても辛いことかもしれないです。それに気づいてもなお、「ごめん、やっぱりあたし、おせっかいだ」と、あらためて手を差し伸べるひばりなのです。
最後に、後から追いついたデンスケが、届けてきたホットケーキを差し出します。ひばりの家族の愛情の象徴といえましょう。それに手を伸ばし、再び口にしたあとのつばめの言葉。「ひばり…、おいしい」。
こんなにも家族の愛情は、心地よいものだったのか、という、はじめてわき上がる感情が「おいしい」という一言に込められています。
このシーンからはじまってエンディングまで流れる曲は、岡崎律子『シンシア・愛する人』(アキハバラ電脳組サントラ「Rebis-C.T.i.A」収録)です。
君は汚れないで 陽だまりの道を行け
まっすぐに こうと決めたら迷ってはだめだよ
君がやさしくても 力強くあるように
まっすぐに 顔を上げて 君の道を行け
とあります。静かな曲ですが、力強い意思を持っています。
おとといからなんだか自分が取り残されたような、置いてかれたような不思議な感覚のまま、過ごしていました。基本的に冷めてるので、それ自体、自分でも不思議でした。ひとしきり泣いた後で、シンシアを聴いて、すこし元気になりました。
ああ、そうか、この気分なら大丈夫だ、またがんばれる、と思いました。
こんな幸せな寝顔のシーンにかかっている曲です。泣いていられるわけがないじゃないですか。
岡崎律子さん2004年5月5日、永眠。享年44歳。
ありがとうございました。
2004/5/13 03:14